仕訳シリーズ#9
今回は決算時ならではの繰越商品を取り上げます。この繰越商品は、在庫を一旦「繰越商品」という資産に振り替える、という作業になります。
例えば、Aという商品とBという商品があります。共に販売価格は1000円で、仕入価格は600円でした。この内、Aだけが売れて決算を迎えたとします。このとき、Bは残っていますが、来年売れる可能性がある大事な財産です。なのでB分の価値を「繰越商品」として資産に移しておきましょうということです。仕訳は以下になります。B分の価値である仕入にかかった費用(ややこしい言い方をしていますが、要は「仕入」になりますね)を右側に書いて相殺し、現金と同じ資産である「繰越商品」が増えたので左に書きます
600 | 繰越商品 | 期末繰越商品 | 仕入 | 600 |
なお、次の年には、この繰越商品を改めて仕入に移し変えますが(売れた場合は費用になるので)、これ、実は年度末に、上の仕訳と合わせてセットでやります。なので、先ほどの仕訳で、期首に400円の繰越商品があった場合、実際は以下の仕訳になります。
400 | 仕入 | 期首繰越商品 | 繰越商品 | 400 |
600 | 繰越商品 | 期末繰越商品 | 仕入 | 600 |
そして、弥生会計だと以下のように仕訳します。簿記3級の知識と会計ソフトでは若干異なりますが、そういうものだと割り切りましょう。
400 | 期首商品棚卸高 | 商品 | 400 |
600 | 商品 | 期末商品棚卸高 | 600 |
因みに、仕訳は上記の通りですが、この繰越商品への振替は売上総利益(粗利)などを計算するために使われます。売上総利益は、その事業年度中に儲けた額、そして現在の競争力をも表していると言われています。例えば、同業他社と比較した場合、同じ商品を別のお店では800円で仕入れていたとしたら、そのお店は、その商品が売れてもと200円の利益が出るにとどまり、結果、600円で仕入れている方が、商売が上手と言いますか、生き残れる可能性が高いと言いますか、競争力があるということになるかと思います。自分のお店の毎年度の売上総利益を比較して、業界内での自分のお店の立ち位置を確認することにも使えるでしょう。ということで、繰越商品への振替は大事な仕訳です。忘れないでおきましょう。以下に、繰越商品の仕訳、そして、売上総利益についても詳細な説明があります。ご参照ください。
https://freeway-keiri.com/blog/view/165
https://support.yayoi-kk.co.jp/faq_Subcontents.html?page_id=17982&grade_id=Blue